寿司職人ブログ

人生真ん中あたり

リストラされた常連さんの話

 オギャーと産まれて約40年、陰毛が生え揃ってから約四半世紀が経ちました。国際化やグローバリゼーションがかつてない速度で進行しており、一部でバックラッシュが起こるほどであります。わたしはまだ日本に住み、日本人と一緒に働いています。しかしながらグローバリゼーションの波をうけ、英語を勉強しちゃってます。ブログでも外来語を多用しており、ルー大柴化しているような気がしたりしなかったりです。

 さて、縦書き文化の日本語もずいぶんと横書き化してまいりました。はてなブログも横書きのスタイルですし、ブログというサービスも言葉自体も外来です。ブログはblogでもブログでも意味は同じですが、その他の言葉においては必ずしも英語と日本語とでは意味が同じにならないケースがあります。

 代表的なものとして「リストラ」が挙げられます。もともとの意味はrestructuring、再構築というものです。日本では1990年代初頭のバブル崩壊以降、リストラという言葉がメディアにしょっちゅう取り上げられるようになりました。リストラの本来の意味は「再構築」ということですから、例えば業務効率化や固定費用の見直し、総労働時間の抑制やアウトソーシングの検討などを行ったのかなということかなと思いますが、違います。日本におけるリストラの意味は整理解雇です。金食い虫の余剰人員だから辞めてくれというわけです。これはバブル崩壊直後だけでなく、リーマンショック後にも、そして景気が回復したと政府は言ってますが現在でもリストラは続いています。リストラを行うかどうかはその企業の業績に依ります。ごくごく当たり前の話です。

 寿司屋の常連さんで化学関係のメーカーの営業さんがいました。年齢は50手前くらいだったと思います。今から5年ほど前でしょうか、カウンターでボソリと「会社からさ、肩叩かれたんだよね」と言うんです。「えっ何があったんすか」と私が言うと、「早期希望退職を募った、って言ってるんだけどさ、辞めると言うまで偉い人に面接で詰められるんだぜ、それで折れちゃったよ」と答えた常連さん。退職金は割増されたそうですが、雇われの身分としてはモヤモヤする話であります。人件費がかさんで会社が潰れちゃ困りますが、自分がカット対象になったときの心境たるや。。。「おまえは不要だ」と言われているわけですからね。。。

 わたしは手に職があるとはいえ雇われの身分である以上、クビを切られるリスクは存在します。少しでもうまい寿司を握って店を盛り立てて、店の営業を回していかないと雇われの身分を継続させることができません。危機感を持ち仕事すること、そして何かあったときのために幾ばくかのキャッシュを用意しておくことが大切かと思いました。例の解雇された常連さんはお坊っちゃんなのでお金はたくさんあるので生活については心配不要だったみたいです。安心しました(半分羨ましい)。

 いま「働き方改革」か話題ですが、「雇い方改革」「首の切り方改革」も問題です。首を切りやすくするなら給料もちゃんと出せとは思います。日本人経営者は大変優秀なので給料は抑えて首をすぐに切ろうとすると思います。一部のできる社員の首は切らないとしても、みんなできる社員ではありませんからね。。。2:6:2の法則なんてものがありますが、たいていの意識高い系サラリーマン諸氏はできる2割の中に自分が入っていることを疑いません。いちど立ち止まって自分と会社を冷静に見つめ直してみるのもいいかもしれません。

 でもなんだか、いつも追い詰められているような心理状態でいるのはストレスフルですよねえ。心穏やかに生きていきたいものです。。。。やっぱお金ですかねえ。