寿司職人ブログ

人生真ん中あたり

男子の本懐は突撃にあり、というお話(「ホースソルジャー」感想)

 「花の慶次」と聞くとパチンコを思い浮かべる人も多いと思いますが、ぼくは漫画に出てくる最後の戦場のシーン、つまり上杉軍と最上軍の戦闘で前田慶次や捨丸、骨、岩兵衞が敵陣に突撃していく一連の流れを思い浮かべます。あれを読んでいると「死んだ気で無心で取り組めば何事や成さむ」と気合が入ります。久しぶりに読みたくなってきました。やはり戦場の華は騎馬武者の突撃だと思うわけです。f:id:sushishock9:20180513091550j:image

現代の戦では騎馬隊などなんの役に立つのかよく分からないと思っていたのですが、実は騎馬隊が活躍した戦がほんの15年ほど前にあったのですね。先日レイトショーで「ホース・ソルジャー」を観てきました。

 9.11直後にアルカイダに対するアメリカの反撃としてアフガニスタン紛争が起こりました。その時の米軍特殊部隊によるアルカイダとの戦闘を描いた作品であり、私の好きな戦争映画です。人がたくさん死にます。結論から言うと、とても良かったです。お勧めです。ローン・レンジャーアメリカン・スナイパーを観ていたので、「中東でうまくいった戦闘があったのかよ」と驚きました。そしてアフガン現地人たちも含めた戦う男たちの覚悟と高い戦闘能力、アメリカ万歳になり過ぎないバランスを考慮した上でのポジティブな描き方に好感を持ちました。エンドロールを眺めていたら製作は「ブラックホーク・ダウン」「トップガン」のジェリー・ブラッカイマーでした。なるほどねと思った次第です。

 作品に描かれる戦争の経緯や兵器の機能やアメリカ兵が無敵すぎるwなどの中身に対するツッコミは他のブログに任せるとして、このエントリでは出てくる役者に対して色々言うことにします。ではいきましょう。

 クリス・ヘムズワース

 主役のミッチ・ネルソン大尉を演じています。美男子ですよね。スクリーンに映えます。

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イケメン主人公であり、発言も立案する作戦も基本的に正しいです。そもそも大尉だったということは優秀な軍人だったのでしょう。アフガン北部同盟のドスタム将軍との外交もこなし(これが一番大変そうだ)、特殊部隊隊長としての面目躍如でありました。「白鯨との戦い」の一等航海士チェイスのような役割でしたね。f:id:sushishock9:20180513083332j:image

クリス・ヘムズワースは優秀なイケメンの役しか演じないのか、というとそうではありません。「ゴーストバスターズ」のケヴィンのような役もやります。イケメンはイケメンなんですけどね。ケヴィンがどんな役かよく分かる動画があったのでリンクを貼っておきます。冒頭から笑わせてくれます笑映画 『ゴーストバスターズ』 ケヴィン役 クリス・ヘムズワース特別映像 - YouTube

男女ともに好感度高いですね!

マイケル・シャノン

 特殊部隊の副官、ハル・スペンサーを演じています。あれ?どっかで観た俳優さんだなと思っていたら「シェイプ・オブ・ウォーター」のストリックランド、「レボリューショナリーロード」の(心が気の毒な)ジョンを演じたマイケル・シャノンじゃないですか。相変わらず顔が怖いと思いました。

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しかし当作品では実にナイスガイな役割です。しかし冒頭での出征する際の息子の態度とか中盤で腰をイワしてしまったり終盤ではあんな目に遭ってしまったり、受難の役柄です。シェイプオブウォーターを思い出して内心笑ってしまいました。でもかなり美味しいと思います。スナイプ成功のシーンはかなり美味しいと思う。f:id:sushishock9:20180513084702j:image

マイケル・ペーニャ

私は彼を「脇役界の偉人」と勝手に呼んでいます。偉大なるバイプレイヤーである。気づかなかったけど、「ミリオンダラー・ベイビー」にも出演していたようです。「ちょっとクセがあるけどなかなかいい奴」を演じる傾向にあるのかな。「フューリー」でゴルド役を演じていたが、ゴルドの最期は味方を庇った壮絶なものでしたね。

f:id:sushishock9:20180513085612j:image(これは「フューリー」のマイケル・ペーニャです)

そういえば「ペント・ハウス」や「オデッセイ」にも出ています。マイケル・ペーニャは映画であり、映画はマイケル・ペーニャである、と言えましょう。それはさておき、本作ではもと歴史の教師だったという設定でなかなかのインテリぶりを見せつけます。任務の困難さを受け止めながらも目的達成のために戦闘に参加しますが、決してヒロイックなものではなく、ユーモアと笑顔を織り交ぜた姿が印象的でした。

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最後に

いろいろ書きましたが、この映画に描かれる作戦は最高機密だったそうです。なんでまた映画になったんかね?この作品では地上部隊による座標連絡➡︎B52による空爆、というシーンが頻繁に出てきます。これがアメリカの主要な作戦であったということなのでしょう。今はもっと新しい作戦ができた、ということなのでしょうか。ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領が無人機による空爆をすすめていたというブラックジョーク(オバマだけに)的状況が思い出されました。戦争によりドローンの技術革新が進み、われわれ一般市民の生活にも役に立つようになるという側面がありますが(ロケットしかり、イノベーションは戦争により起こりやすくなるのは間違いない)、なんだかそれでは非人道的な気もするんですよね。やはり戦の華は騎馬武者による突撃なんですよ。それがロマンであり、こちらの生命を危険に晒すことにより相手の生命への畏怖も生まれるわけですね(なんだか発言がガンダムWのトレーズ・クシュリナーダみたいになってきました)。

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無人機(ガンダムWの作中ではモビルドール、現代ではドローン)による一方的殺戮と人と人との「決闘」、どちらがより「人道的」なんでしょうね。無人機ではとりあえず自軍の犠牲は出ないわけですけど。。。「現代の戦闘」について考える機会にもなると思います。

繰り返しになりますが「ホースソルジャー」とてもお勧めです!!みんなで観よう!