大麻は心臓に悪い、というお話
大麻と聞くと北海道の地名を思い浮かべる人が中にはいるかもしれませんが、大抵の人はマリファナを思い浮かべることと思います。高樹沙耶さんの顔を思い浮かべることも、これとほぼ同じ意味になります。そして本邦で大麻といえば単純所持が違法とされる違法薬物である反面、一部の方々からは熱狂的に支持されており、ディープでドープでヘンプな存在であります。
(ちなみにヘンプとは麻の実のことです)
さて、大麻については日本では単純所持すら違法とされていますが、国外では合法化されている国・地域もあります。医療用大麻なるものもあります。頭痛などの痛みに対して効果があると言われています。さらに、ただ「言われている」だけではなく、アメリカ食品医薬品局(FDA)が「難治の小児てんかんに対して」「大麻由来成分であるカンナビジオールcannabidiol(CBD)が」有効であると「医薬品として」承認しました。
ここで「」をつけたのは、あくまで大麻由来の成分が特定の疾患の特定の症状に対して医薬品としての効果と安全性が認められた、という事実を強調するためであります。あくまでCBDが認められたのであり、マリファナが認められたのではないということを認識いただきたいのであります。マリファナは覚醒剤やオピオイドなどのハードドラッグへの足がかりーいわゆるゲートウェイドラッグであるとも言われていますし、煙を吸うことの肺機能への悪影響があります。またこんな報告もあります。
タイトルは
Recreational Marijuana Use and Acute Myocardial Infarction: Insights from Nationwide Inpatient Sample in the United States
【拙訳】マリファナの娯楽使用と急性心筋梗塞;アメリカ合衆国の全国的な入院患者における標本調査からの洞察
というものです。論文の結論はこうでした。
The lifetime AMI odds were increased in recreational marijuana users. Overall odds of mortality were not increased significantly in AMI-marijuana group. However, marijuana users showed higher trends of AMI prevalence and related mortality from 2010-2014. It is crucial to assess cardiovascular effects related to marijuana overuse and educate patients for the same.
【拙訳】
全体の死亡率においてマリファナユーザー群が有意に高いわけではないが、マリファナ群において急性心筋梗塞になる率は有意に高かった。また、2010~2014年においてはマリファナユーザー群において急性心筋梗塞の有病率とそれによる関連死の率が高い傾向にあった。マリファナのやりすぎによる心血管系への影響を視野に入れ患者教育を行うことが極めて重要である。
というわけで乾燥大麻の煙を吸い込むことには大きな健康上のリスクになりますので大麻愛好家の方はお気を付けください。この他、大麻吸引後に胸痛を訴えた16歳の症例について心臓MRIを行った結果、(案の定)心筋梗塞の所見が見られた、などの報告もあります。そのうち日本でも合法化されるかもしれませんが、「無害」とはとうてい言えないと思いますねわたしは。。。