地方に美女が多い理由
日本においては「色の白いは七難隠す」というほど、美しい女性の条件の一つに色の白さがあげられます。経済も人間もグローバル化を迎えた現代においてポリティカル・コレクトネスにもろに反している言葉のように思いますが、日本における伝統的な美意識の問題なので、敢えてその点には触れないことにします。
人間の肌の色の白さとはメラニン色素の少なさであり、つまるところ紫外線暴露量に依ります。紫外線に当たらなければ肌は白いままですし、シワやシミになりにくいのです。これは当たり前の知識でしょう。どういったところで紫外線が強いのか分かっていれば、その場所を避ける、あるいは日焼け止めなどの対策をしていくことができます。それでは紫外線が多い場所とはどういった場所なのでしょうか。
それは
・緯度が低いところ
・太陽と地球との距離が近い(高い)ところ
であります。これまた当たり前ですね。環境省から引用してきた画像ですが、緯度が低いところでは圧倒的に紫外線量が多くなっていることがおわかりかと思います。
日本においては東北地方や北海道など高緯度地域が、沖縄などの低緯度地域より紫外線量が少ないことが容易に推測できます。実際、気象庁のデータにも裏付けられています。
鹿児島や茨城のデータもあります。
つくば市も確かに札幌よりは紫外線量が多いですが、那覇ほどではありません(とはいえ、つくば市を擁する茨城県は日本の三大〼〼の産地とか言われているようですが)。(北半球では)北に行けば行くほど紫外線量が減りますから、色白の女性に出会いたければ北を目指すのが良さそうです。
紫外線は英語でultraviolet いいます。UVはその略です。テレビCMなどでユーブイユーブイ言ってますが、正しくはユーヴィーだと思います。紫外線と一口に言っても、種類がいくつかあるようです。例によってWikipedia先生を引用します。
面白いのは、日焼けをする紫外線と肌の老化に繋がる紫外線は異なる波長ということです。
近紫外線 (波長 200–380 nm)
UV-A (波長 315–380 nm)
太陽光線由来のもののうち、5.6%が大気を通過する。冬季及び朝夕でもあまり減衰しない。皮膚の真皮層に作用し蛋白質を変性させる。皮膚の弾性を失わせ老化を促進する。細胞の物質交代の進行に関係しており、細胞の機能を活性化させる。また、UV-Bによって生成されたメラニン色素を酸化させて褐色に変化させる。サンタン (suntan)。
肌を老化させるのがUVAです。これは冬場でも朝でも減らないとあります。恐ろしいですね。朝でも日焼け止めを塗ったり日傘をさして歩く必要がありそうです。波長が長いため、真皮(表皮のさらに下)にあるコラーゲン線維をつくりだす線維芽細胞まで到達し、それを傷つけることで皮膚の弾力を失わせる、すなわち「シワやタルミ」が発生するというメカニズムがあります。どのように「傷つける」かというと、細胞の中にあるDNA配列に異常をきたすことによる複製エラーがおこります。皮膚の中には線維芽細胞だけでなく、いろいろな細胞があります。その中でも免疫細胞は特に重要な細胞ですが、この免疫細胞も紫外線で傷つけられます。いろんな細胞が慢性的に傷つけられた結果、シワやシミのみならず、悪性腫瘍(つまりガン)になってしまうこともあります。恐ろしいですね。気をつけましょう。
UV-B (波長 280–315 nm)
太陽光線の由来のもののうち、0.5%が大気を通過する。表皮層に作用するが、色素細胞がメラニンを生成し防御反応を取る。これがいわゆる日焼けである。この際ビタミンDを生成する。サンバーン (sunburn)。
日焼け=メラニン色素の生成に関与しているのがUVBだそうです。また、ビタミンDについては、ひところ話題になったコインロッカーベイビーの話が有名です。コインロッカーに入れられ日に当たらないため、ビタミンDが生成されず骨の石灰化に異常をきたし、脊椎や四肢の変形として現れるくる病になってしまいます。最近は(紫外線を忌避する)妊婦のビタミンD不足が増えているようで、胎児もビタミンD欠乏症になり、くる病が増加傾向にあるようです。
そのほか、日常生活では意識する必要がなさそうな紫外線もあります。
UV-C (波長 200–280 nm)
オゾン層で守られている地表には通常は到達しない。強い殺菌作用があり、生体に対する破壊性が最も強い。地球温暖化やハロン系物質によりオゾン層が破壊されると、地表に到達してあらゆる生物相に著しい影響が出ることが懸念されている。
遠紫外線、真空紫外線 (VUV, Vacuum UV) (波長 10–200 nm)
酸素分子や窒素分子によって吸収されるため、通常は地表には到達しない。真空中でないと進行しないため「真空紫外線」 (vacuum ultraviolet)と呼ばれる。
極端紫外線 (波長 10–121 nm)
極紫外線とも呼ばれる。極端紫外線は、物質の電子状態の遷移により放出される。X線との境界はあいまいである。30 nm 近辺の波長は、価電子帯の電子が伝導帯に遷移する際に放出されるのに対し、それより短い波長のものは、内側の核電子のエネルギー状態の変化により放出される。この長波長側の端は、He+によるEUV/XUV放射が 30.4 nm である。波長の短いものはサイクロトロン放射によっても放出される。この領域の紫外線は、X線と分類されることもある。
サイクロトロンはPETを実施している医療施設なら小型のものがありますが、この場合、全く気にしなくてよいでしょう。
つまり紫外線のなかでもとりわけUVA、UVBに気をつけようということです。メラニン色素で色が黒くなるだけならよいですが、それで色素が沈着しシミになってしまうと大変なことになりますね。
寿司職人はお客さんの前で寿司を握る、いわば手肌の見てくれも大事になる仕事です。「江戸前の旬」の主人公の親父(鱒っちゃん)は手にシミができたから引退しました。わたしはオッサンですが、日傘をさそうと思った寿司職人なのでした。