寿司職人ブログ

人生真ん中あたり

趣味の銭湯巡りについて

 酒以外の趣味がなかったので、断酒後はほぼ無趣味と言って良いわたしですが、よくよく思い返してみれば趣味と言えなくもないものが一つありました。銭湯めぐりです。スパとか温泉宿ではなく、銭湯です。もちろんスーパー銭湯も含みます。なぜ銭湯めぐりが好きかというと、理由は3点あります。「広い浴槽でリラックスできるから」「交互浴(熱い湯→水風呂、を繰り返す)ができるから」「その土地の人の、文字通りネイキッドな姿を観察できるから」であります。人々の裸の付き合いを観察することで、まちの姿をより知ることができる、とでも言いましょうか。

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 私の性的指向は「ストレート」であり、男性の裸を見たいという性的欲求はありません。銭湯では普段服の下に隠れているものを取り払った、ありのままの姿で人が存在します。わたしはそういった人間の姿を見たい知りたいという関心、好奇心があると言えましょう。

 さて、街のレトロ系銭湯に出かけるとそこのお客さんの大半は高齢者です。いつ濡れたタイル床で転倒するかヒヤヒヤしながら見守っています。95%の高齢者は筋肉がごっそりと抜け落ちた痩せ型をしています。5%は筋骨隆々とは言わないまでも、多少筋肉のついた身体つきをしています。銭湯内における足取りも、痩せ型高齢者と比較するとより安心して見ていられます。こういった方々は若いころはどんな仕事をしているのだろう?また、日頃は運動の習慣があるのだろうか、と考えてしまいます。60代以前の「若い」人たちは痩せ型の人もいればでっぷりと太った人もいます。高齢者と比較すると、痩せ型は少ないと断言できます。40代50代は小太りな感じの方が多い気がします。いずれにせよ運動不足の方が多いのだなあと、銭湯では実感することしきりです。

銭湯:「浮世の垢」も落とす庶民の社交場 (シリーズ・ニッポン再発見)

サルコペニア」という言葉があります。加齢による骨格筋量の低下、と定義されているようです(この用語の定義を巡ってはいろいろあるようですが)。人生100年時代などという言葉がメディアに踊る昨今でございますが、今後はこの「サルコペニア」という言葉も広まってくるのではないでしょうか。平均寿命より健康寿命が重要である、という論調も増えて参りました。健康であってこそ長寿の意味があると考えることもできます。自分の足で立って歩き、日常生活動作(Activity of Daily Life:ADL)を独力で完了できる時間をより延長させないといけない、ということであります。Quality Of Life:QOLの考え方が近年では浸透してきました。20年間寝たきりで100歳まで生きるより、日常生活動作は全く問題ないけど80歳でコロリと死ぬ方のどちらが良いかという問いに、あなたなら何と答えますか。

  わたしは減量のために酒を断ち、食物摂取量も減らしています。しかしこれだけでは将来的に栄養及び運動不足とそれらを所与とする生活習慣の固定化により、サルコペニアに陥ってしまう可能性が高いです。それゆえ、筋トレと有酸素運動も併せて行っています。スマホの万歩計機能も活用し、運動量にもこだわろうと考えています。健康のためには食事と運動という両輪が必要です。

 と、ここまでエントリを書き進めるうちに、わたしが銭湯めぐりが好きである理由の4つ目が浮かんできました。もしかしたらわたしは痩せ衰えた高齢者の裸体を見ることで、将来の己に危機感を抱き、トレーニングを続けるために銭湯めぐりをしているのかもしれません。カルバン・クラインの下着モデル男性のような筋骨隆々の姿に憧れるのではなく、場末の銭湯の痩せ衰えた高齢者を反面教師とするという。。。

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 三島由紀夫がボディビルをしている理由として、「肉体的教養を身につけるためだ」と本に書いていました。ボディビルで肉体的教養とまでいかなくても、高齢者になっても年齢に応じたトレーニング強度で健康寿命を延ばすことーいわば「肉体の生涯教育」ーも必要かと思われます。

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