寿司職人ブログ

人生真ん中あたり

ハダカデバネズミと人類の未来について

 先日BBCの番組を見ました。「David Attenboroughの自然の神秘」という、地球上の生命の多様さ不思議さ面白さを紹介するものです。この番組に「しわくちゃで生まれて」という回があるのですが、最初タイトルを見たときに映画の「ベンジャミン・バトン」を思い出してしまいました。ベンジャミン・バトンは産まれたときからしわくちゃです。しわくちゃでシミのある醜い老人の姿で産まれました。それが加齢(経年)と共に若返っていくというストーリーです。覚えている人も多いでしょう。何せブラピとケイト・ブランシェットティルダ・スウィントンが出演していましたからね。話が逸れました。

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 ベンジャミン・バトンは産まれたときはしわくちゃでも年を取るごとに若返りましたが、この番組で取り上げられていたハダカデバネズミは産まれたときからしわくちゃで、飼育化における平均的な寿命は15年と言われています。ナイフのように尖るわけでもなく、しわくちゃのままー外見的には殆ど変化が見られない!ー個体としての生を終えるのです。通常ネズミの寿命は2年程度だそうですが(種によるでしょうが)、ハダカデバネズミは圧倒的に長い寿命を誇ります。ガンにもならないそうです。実に不思議な生き物です。余談ですがハダカデバネズミが発見された当時は、あのシワクチャのルックスから、老齢の個体だと思われていたそうです。


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 ハダカデバネズミはアフリカのごく一部、ソマリアエチオピアケニアジブチにのみ分布し、完全な地下生活を営んでいます。紫外線に当たることなく、地下という環境変動の少ない、湿度が高いところで生活していますので色も白く毛も少なく(Sir Attenboroughによると、モグラは餌を取るときは地上に出るらしい)なったということです。日に焼けたくないということで紫外線を避けて保湿しまくっているヒトの集団が進化すると、もしかしたらハダカデバネズミのような外見になってしまうかもしれませんね。しかもハダカデバネズミヒアルロン酸を産生しており、そのヒアルロン酸はがん耐性や優れた保湿効果などの性質を持っていることが分かっています。ますます美白ピープルはハダカデバネズミ予備軍である可能性が高くなってきました。

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 与太話はさておきまして、実はハダカデバネズミは哺乳類ではたいへん珍しい真社会性の動物であります。「真社会性」という言葉は生物学用語で、一般的な「社会性がある」というような意味ではありません。実に誤解を生みやすい言葉だと思います。「真社会性」の意味はwikipediaによると

真社会性(しんしゃかいせい, 英: eusociality)とは、動物の集団のうちで、社会性昆虫などに見られるものを指す言葉である。もともとはこれらの動物に対しても、普通に使われるような、社会的な集団を作る性質の意味で社会性と呼んだのであるが、行動生態学等の進歩の中で、その意味が見直され、新たな概念として提出されたものである。その重要な特徴は、集団の中に不妊の階級を持つことである。

だそうです。子どもを産む女王ハダカデバネズミと、子どもを産まないその他ハダカデバネズミがいるのです。

 ヒトは真社会性の動物ではないと言われていますが、ヒトも真社会性を獲得しつつあるのではないかと私は考えています。下のグラフをご覧ください。


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このグラフは生涯未婚率の推移を示しています。1970年では男性の生涯未婚率は1.7%でしたが2010年では20%を超えています。そして2035年にはおよそ30%まで上昇すると推計されているのです。未婚≒子どもをもうけることができない、と仮定すると、ヒトもハダカデバネズミと同じく真社会性を獲得しつつあるのでは?と思わずにはいられません。ちなみに真社会性の動物といえばアリやハチが有名ですが、連中もハダカデバネズミも、不妊階級は子どもを産む女王(アリ・ハチ・ハダカデバネズミ)の世話をします。現在、少子化対策としていわば「独身税」を徴収しようとしている動きも散見されますが、まさにこれも「ヒトのハダカデバネズミ化」と言えるのではないでしょうか。

 子どもを産む、産まないは「独立した個人の意思による自由な選択」であるように見えて、実はヒトの種としての方向転換期を迎えているのではないか?先進国ではハイパーメリトクラシズムによる淘汰圧が非常に高まっています。それであれば、より遺伝子を次代に伝えるために効率的な方法は優れた出産能力と賢さをもつ「女王」と優れた能力を持つ「孕ませ役」の数人のオスがいれば良いのではなどと考えたのでした。群淘汰じゃないかそれは、とドーキンス先生には叱られそうですけど。結局与太話になってしまいました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

利己的な遺伝子 40周年記念版