御社の営業がダメな理由
わたしは一介の寿司職人であり、コンサルタントではありません。当エントリのタイトルは10年ほど前にベストセラーになった本の名前です。
寿司を握ってると、お客さんの話が耳に入ってきます。「娘が彼氏を連れてきた。そういう年頃かと感慨深かった」というものだったり「先週部長と行ったキャバクラの女の子がとても太ってたからチェンジした」とか「取引が上手くいって上司に褒められた」とか。寿司屋は人生の縮図でございます。
というわけで中にはネガティブな話題も出てまいります。良く耳にするのは「うちの営業がもうちょっと頑張ってくれないと。。。」とか「あのオジサン営業、直行しますとか言って10時くらいに会社出てくけど11時くらいに駅前のコメダ珈琲でスポーツ新聞を読んでるのを窓ガラス越しに見かけた(笑)」という営業マンの人に対する文句です。そういう話をお客さんに振られたときは「まあ、会社員の方の仕事ってのは大変ですよねえ。頭が下がりやすよ」なんて答えになってないようなやりとりをしていますが。
営業という仕事をやったことがないのでどんなもんだろうと思って営業マンのお客さんに聞いてみましたら、営業マネージャーの方で当書籍を参考にしてると言っていました。営業というと「契約が取れるまで帰社してくるな!」的なブラックなイメージがありますが、そんな会社は早晩営業の社員が定着せず社内の営業ノウハウの蓄積もされず弱体化するから潰れてしまうだろうとそのお客さんは言っていました。さらに曰く
「営業成果=営業量×営業能力」
「営業量=営業時間−(意識的怠慢時間+結果的怠慢時間)」
「営業能力=営業知識量+営業センス力+グランドデザイン力」
なのだと。
営業センス力というのは
・第一印象がよいこと
・ポジティブで負けず嫌いな性格
・記憶力(特に数字に強いこと)
・質問に対し簡潔に話す能力
・洞察力
・的確なヒアリング能力
・人の悪口を言わない性格
などのことだそうです。
グランドデザイン力とは
・営業先に対する改善提案ができる能力
・商品の次世代を予測する能力
・営業先に訴求力のある企画書を作成できる能力
・現状の商品を営業先に魅力的にプレゼンテーションできる能力
・ライバル社の商品の特徴を捉え、自社商品との機能比較を怠らない能力
だそうです。こんな能力を併せ持つ営業、そうそういないだろうと思いますが。。。こういう能力は研修の時間を設けるなどして教えてどうにかなるようなものではない気がします。(ある程度はどうにかなるかもしれませんが。。。ある程度で終わってしまうでしょう)
ゆえに営業マンに「能力を磨け、努力せい」と言ったところで営業成果は出てこないだろうというのです。それより営業マネージャーが営業日報を書いて出させるのではなく、毎日1日30分のヒアリングで進捗確認とアドバイスを行い、得意先に同行して商談の成功率を高める取り組みを行ったほうが営業成果は出ると。(そのかわりプレイングマネージャーの数字ノルマは外す)そして、社の営業ノウハウを積極的に蓄積・共有する環境を整え推進すること。センスはそうそう伸びませんが、知識やノウハウは身につくものです。これは寿司職人にも同様のことが言えるかなーと思った次第です。やっぱり親方に直接いろいろ聞かれるとボロが出ちゃうときは出るし、アドバイスされたらもっと頑張ろうと思ってしまうのが人間ってものですわな。
営業は人と人との繋がりだから、AIに取って代わられる可能性は公認会計士よりは高くないでしょう。しかし汎用AIが登場するのを待たなくとも、営業成績が悪ければお払い箱になるシビアな仕事です。「俺もいつクビを切られるか分からんよ、そしたらここで寿司食べられなくなっちゃうから頑張らないとねえ」なんてときにお客さんに言われるわけですが、日々努力して汗水垂らして営業をかける営業の人たちに「あぁうまい寿司だ」と喜んでもらえるように今日も気合を入れて寿司を握ろうと思いました。