寿司職人ブログ

人生真ん中あたり

【読書感想文】世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本主義

 朝日新聞社の人が欧米の知識人に民主主義についてインタビューしたものをまとめ、朝日新聞社が出版してる本、ということで中には毛嫌いする人もいるかもしれない。

 構成として一番最初にエマニュエル・トッドを持ってくるのはインパクトを高めることを狙ったのだろうか。トッドのような意見は主流派ではないのでトンデモ枠として扱ったのかと訝しく思ってしまう(笑)。個人的には一番賛同できるのがトッドだった。たとえば「高等教育は『体制』を維持するための愚かしい存在になってしまった(趣意)」とか「民主主義は別にいい所だらけの素晴らしい政治体制ではない」みたいなことを言っていた。その通りだよねえ、と思ってしまった。

 トッドの次の論者はピエール・ロザンヴァロンとかいう名前からしエスタブリッシュメントなコレージュドフランスの教授がポピュリズムから民主主義を守れ、投票行動だけでなくデモや市民の監視などの多様なチャネルにより民意を政府・政党に届ける「カウンター・デモクラシー」が必要だと仰ってます。

 インタビューを終えて、朝日新聞社の人がカウンター・デモクラシーは日本でも必要だと言ってましたが、日本では政党が裏で手を引いてデモやってますよね。うーん、朝日新聞社の欺瞞を感じるなあと思った次第です。

 ポピュリズムは民主主義と違うんやぁ〜!と言っても民主主義がある限りポピュリズムはついて回るでしょ。民主主義を掲げる・信奉する賢い人たちがぼくたち意見の違う人をボンクラ扱いして頭が悪いだの所得が低いだの、冷静な分析してるつもりなのか知らないけどずいぶん失礼な連中だなと感じるわけでしてね。そりゃ分断しますわな。高等教育は国境を超えたアッパーな知的階層の繋がりを実現させますが国内の階層における分断も実現させますからね。どうしたら良いの?とりあえずテポドンを東京に。。?

 

世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本 (朝日新書)