【読書感想文】サピエンス全史(上)
学生時代に生物学の講義を受けたことがある。そこでは「生物は遺伝子の乗り物である」と習い、遺伝子を構成するのはDNAであること、我々の身体はDNAの塩基配列によってこの形状と機能が定められているとされた。
このような分子生物学、いわゆるミクロな生物学は大変興味深かったのだが、マクロな生物学ー特に我々人間に関するーもまた俺の興味を引いた。俺が特に面白いと感じたのは人類学と呼ばれるジャンルだった。
人類学とは現生人類、要するに「ホモ・サピエンス」はチンパンジーをはじめとした他の霊長類や既に滅びてしまった原人・旧人(有名どころではジャワ原人やネアンデルタール人)とは何が違うのかを生物学的なアプローチで明らかにしていく学問(と、俺は理解している)である。
この人類学に、さらに文化史・歴史的・経済的視点を加え「われわれ人類はどこからきてどのようにして今のようになり、どこへいくのか」を考察するのが本書「サピエンス全史」である。
本書は4部20章で構成されており、上巻では第3部第11章まで、すなわちホモ・サピエンスと他のホモ種との大きな違いを「認知革命」が起こったことから生まれたと解説する第1部からはじまり、狩猟採集社会から農耕社会へ移行するに至った農業革命を解説する第2部、分断からグローバル帝国へ統一へとすすむ人類集団としての変遷が描かれている。
さまざまな学問領域における人間への理解を深めることのできる一冊である。